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ブルックナー 交響曲第7番

ブルックナー 交響曲第7番_a0221320_1274622.jpg
エソテリックが往年のアナログ録音を復刻したハイブリッドSACD盤で
カラヤン指揮ベルリン・フィルのブルックナー 交響曲第7番を聴いた。
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/esss90059/index.html
カラヤンは1970年代にベルリン・フィルと2回
そして 1989年死の直前にウィーン・フィルと最後の録音を残している。
これは ベルリン・フィルとの最初の録音でEMIが制作したものだ。
個人的には クラシック音楽を聴き始めた頃に出会ったとても懐かしい音源!
1971年の暮れに 交響曲第4番「ロマンティック」と組み合わされて
3枚組のLP豪華BOXセットでリリースされた。
中学生には 到底手が出ないものであり 図書館に通っては聴いた。
これがブルックナーなのかぁぁぁ!と思った。
雰囲気はわかったものの曲は長いし、実際よくわからなかったんじゃないか。
そして今回復刻された第7番がとりわけ印象に残っているのは
その後すぐ1973年秋に NHKホールが落成し
そのこけら落とし公演で ブルックナーの交響曲第7番が
NHK総合テレビのゴールデン・アワーに堂々生放送されたのだ。
その印象も強烈だった。
その時は 特に第2楽章、うっそうとした森林を思わせるような弦楽合奏とワーグナー・チューバの重厚な響き、
その「太い響き」のままで メロディーが滔々と流れてゆく・・・
こんな音楽がこの世にあるのか! テレビで見てすら震撼した。

ベートーベンの音楽は、音楽が鳴っている時に今自分が聴いているのが
どの地点で 音楽はどちらに向かって動いているのかが 明晰にわかる。
音楽自体が そのように一種ロジカルに無駄なく構成されているのだ。
しかしブルックナーは、場合によっては森に迷い込んだような感じを受けることがある。
そして迷子になったと感じた瞬間に退屈してしまう・・・
ブルックナーの音楽自体に そもそも行方がさだまらず動いている動物的なところがあるのだろう。
ところが カラヤンは演奏の力で、自分が効いているのがどこで 音楽がどこに向かって流れていくのかを示し、聴き手を誘うのだ。
例えて言うなら 今目の前に大きなアーチになっている虹がたどり着く先の山裾を見せて
聴き手をそこまで連れて行ってくれる。
アルプスの絶景の空撮ショットを眺めているように、エキサイティングな
音楽の大きな流れがある。
日本の音楽やポップスにはありえないような 長~い長~いフレーズを
歌いこんでいって 冗長にならないカラヤンの非凡な芸なのだ。
カラヤンは 音を出さない指揮者なわけだから、上記のようなことを具現化しているオーケストラも凄いということになる。

年代を振り返ると
1960年 ローマ五輪
1964年 東京五輪
1968年 メキシコ五輪
1972年 ミュンヘン五輪
この時期に いわば敗戦国シリーズというようなオリンピックが行われている。
言いかえれば 戦後の復興にそれだけ時間がかかったということでもある。
東京も焼け野原だったように ベルリンもほぼ完ぺきに廃墟と化した。
しかも戦後は東西に分割されてしまう。
カラヤンの回想によれば、常任指揮者を引き継いだ時のベルリン・フィルは
かなりボロボロの状態だったらしい。
それを10年・15年かけて 新しい団員を入れたり、リハーサルを重ねながら
復興していった、そのひとつの到達点の記録みたいなものが
今回復刻された1970~71年に録音されたブルックナーであろう。
木管楽器も金管楽器も一つ一つの音が「太い」、演奏にパワーがあり
雄弁な弦楽器セクションと相まってあたかも大聖堂のオルガンを思わせる圧倒的なサウンドを生み出した。
そうしたオーケストラの特性をデモンストレーションするにブルックナー以上の素材は考えられない。

久しぶりにカラヤンが1970年代初頭に録音したブルックナーを聴いて
色々なことを思い出し また考えさせられた。
そしてなにより音楽の力に感動した。
しかし このハイブリッドSACD盤が、我が家でヘビロテ盤になるようなことは無いと思う。
神棚に飾っておくようなディスクだと思う、このブルックナーは。
そうしたら今後ブルックナーの交響曲第7番を聴きたいと思った時に
ファースト・チョイスとして手が伸びるディスクは一体何だろう?
パッと頭に浮かぶのは、クライツベルク指揮ウィーン交響楽団が
ウィーンのコンツェルトハウス大ホールで収録したPENTATONE盤だ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1481602
ブルックナーの場合は、ストラヴィンスキーやマーラーの音楽と同様に
「録音が良い」ということに 抵抗し難い魅力があるのである。
クライツベルク盤は、第2楽章アダージョの重厚で悲劇的な切迫感のある歌い回しで
カラヤンを良く受け継いでいるように思われる。
「ミエの切り方」みたいなものが堂に行っている、というかつぼにはまっていて気持ち良く聴ける。
そう言えばヤコブ・クライツベルクは去年の今頃急逝した。
自分よりも若い彼の訃報には 大きなショックを受けたが
その後すぐ東日本大震災があって それどころではなくなってしまっていた。
今月は 彼の残した録音をまとめて聴き直してみたいと思っている。
by raccoon560 | 2012-03-09 01:27 | 音楽